はじめに
近年、ブラスト材として廃棄物を利用したものが、多数存在します。
これは循環型システムを利用した観点から見て非常に有意義であります。
ところが使用後に産業廃棄物になりその処理に莫大な費用が掛かるのも現実です。
さらにブラスト中に発生する粉塵の飛散が環境問題となり、今後のISOの指針では二年以内に使用出来ないブラスト材も多数使用されております。
弊社が開発を致しました技術は、産業廃棄物になるボリュームを限りなく抑え、再利用が出来るシステムです。
しかも粉塵を最小限に制御し環境に対しても貢献出来る事と、コストの面でも規制から外れるとされる商品を使い続ける事が出来る為に、次期ブラスト材のインフラ整備に関するイニシャルコストが削減でき、意義のある提案であります。
特許の公開番号 : 特願第2010-215395号
発明の名称 : 研磨材、及び研磨済の製造方法
比較物性試験
商品サンプルでのブラスト実施後の製品状態で、銅がらみの加工前では粉体状態になり、再利用が不可能であることがわかります。
弊社加工後のブラスト実施後の製品状態は、写真のように粉体化することなく再利用することが可能です。
ポーラス表面処理
商品サンプルでのブラスト実施後の製品状態で、銅がらみの加工前では粉体状態になり、再利用が不可能であることがわかります。マルニケミックス㈱では、微粉砕した溶融スラグに50~200μのポーラスを表面処理する技術を確立しました。
この技術をあらゆるブラスト材に応用することで、塗膜剥離から剥離後、塗膜前処理まですべての工程に対応可能な素材に仕上げました。
素材別ポーラス
素材名 | ウレタンゴム ガラスカレット |
ガラスカレット含有率 (灰分を表示) |
88重量% |
写真倍率 | x50倍 |
見かけ比重 (アルキメデス法による) |
2.3 |
素材名 | PP ガラスカレット |
ガラスカレット含有率 (灰分を表示) |
47重量% |
写真倍率 | x50倍 |
見かけ比重 (アルキメデス法による) |
1.4 |
試験データ-1
測定日 | 2010.07.22 |
試料 | ブラスト処理鉄板 |
検査使用織器 | (株)小坂研究所製 三次元表面粗さ測定器 |
測定速度 | 0.5mm/s |
測定距離 | 8mm |
測定結果 | 平均(四か所の平均) |
最大高さRmax | 93.18μm |
+点平均粗さ | 69.55μm |
当日のブラスト機器 | 川崎20SS(最大吐出力7,5) |
ブラスト圧 | 7.0kg |
気温 | 32℃ |
ブラスト距離 | 30cm |
研究担当部署 | 京都市産業技術研究所工業技術センター |
材料技術グループ |
測定日 | 2010.08、13 |
試料 | ブラスト処理鉄板 |
検査使用機器 | ㈱小坂研究所製三次元表面粗さ測定器 |
測定速度 | 0.5mm/s |
測定距離 | 8mm |
測定結果 | 平均(四ヶ所の平均) |
危大高さRmax | 118.18μm |
+点平均粗さ | 7 7. 55μm |
当日のブラスト機器 | 川崎20SS(最大吐出力7.5) |
プラスト圧 | 7.0kg |
気温 | 32℃ |
ブラスト距離 | 30Cm |
研究担当部署 | 京都市産業技術研究所工業技術センター |
材料技術グループ |
比重測定(アルキメデス法)
PP | |
run | 比重 [-] |
1 | 1.39 |
2 | 1.37 |
3 | 1.25 |
4 | 1.32 |
5 | 1.49 |
6 | 1.43 |
n数 | 6 |
平均 | 1.37 |
標準偏差 | 0.09 |
PU | |
run | 比重 [-] |
1 | 2.04 |
2 | 2.43 |
3 | 2.10 |
4 | 2.31 |
5 | 2.32 |
6 | 2.48 |
n数 | 6 |
平均 | 2.28 |
標準偏差 | 0.18 |
灰分試験
PP | |
灰分 [%] |
|
---|---|
run1 | 48.7 |
run2 | 44.8 |
平均 46.7 | |
標準偏差 2.8 |
PU | |
灰分 [%] |
|
---|---|
run1 | 87.4 |
run2 | 87.7 |
平均 87.5 | |
標準偏差 0.2 |
試験データ-2
銅ガラミ(スラグ・サンド)
※現状用途
- セメント原料(鉄分補充)
- サンド・ブラスト(鉄板壁面の錆落とし)※但し、現在造船所のみ使用で粉塵が多い為、環境
- 問題になっている ゴルフ場(グリーンの下の中層・下層用材料)
- ケーソン(中詰材)
※環境問題(例)
昨年四月、小名浜製錬所が銅製錬の過程でできる副産物の銅ガラミを小名浜下神白地区に保管する計画が地元住民や漁協の方々に説明されました。
銅ガラミは、小名浜東港建設のためのケーソンの中詰剤として使われていましたが、需要が減り、工場敷地内がいっぱいになったため、製錬所は新たな保管地を求めたのでした。銅ガラミは商品とされていますが、重金属も含まれているため、漁業への被害を懸念し、計画を撤回するよう漁業者は小名浜製錬所や市に対して陳情を行っていました。先日、小名浜製錬所に問い合わせたところ、小名浜下神地区への保管計画は撤回したとの回答がありました。
漁業者の中には、陳情は初めてで、そのために背広を買った人もいたほどで、たくさんの取材陣に囲まれ「すごく緊張した。こんなことを毎日やってたら痩せてしまう」と言っていた人もいましたが、頑張って良かったと喜び合っています。
しかし、問題はまだ残っています。小名浜製錬所敷地に保管されている銅ガラミは周囲を高い塀で囲まれているのですが、塀の外にたくさん流出しているという問題です。重金属が含まれている物質なのに、管理がずさんと言わざるをえません。今後、改善を求めていきます。